犬と猫の地域包括ケアをめざして/10回目:ストーリーボードで「感情の変化」を設計する

2026年4月6日、10回目となるワークショップを2時間(10:00〜12:00)で実施しました。今回のテーマは「ストーリーボード作成とモック設計」。前回(第9回)で合意した「ペットのケアマネ」コンセプトをベースに、ユーザー体験の具体化へと踏み込みました。

本来はストーリーボードからモック作成まで進める予定でしたが、議論を深めた結果、ストーリーボードの精度向上を優先。モック制作は次回へ持ち越しとなりました。

今回のゴール:3つの固定軸

スプリントの精度を上げるために、セッション冒頭で以下の3軸を明確に固定しました。

① 主人公(ターゲットユーザー)

  • 45歳以上の女性
  • 柴犬の飼い主
  • 愛犬の高齢化・病気により介護に直面している
  • 情報は調べているが整理できず、不安な状態

② 今回の場面

  • 「介護や看病の不安を感じ始めた直後」
  • 「何から始めればいいか分からず止まっている瞬間」

③ サービスで取ってほしい行動

  • 状況を整理する
  • 記事を読み、次の行動を理解する
  • 「後で見る」に保存し、自分専用の知識を蓄積する

今回はスコープを広げず、"サービスに出会い、最初の一歩を踏み出すまで"に限定して設計しました。

ストーリーボードの設計:8コマで「感情の変化」を描く

まず機能や画面の話に入る前に、8コマの体験フローを設計しました。ここで重視したのは「機能」だけではなく「感情の流れ」です。

ストーリーボードを描いたホワイトボード
主人公・場面・アクションを固定した上で描いたストーリーボード。「先行きの不安→調べる→記事と出会う→後で見る」の体験フローが一枚のホワイトボードに
  1. 違和感・不安が生まれる
  2. 自分で調べるが混乱する(Google検索)
  3. 誰にも相談できず止まる
  4. サービスに出会う(SEO上位で本サービスの記事を発見)
  5. 「ここなら大丈夫そう」と感じる
  6. 自分の状況を整理する
  7. 次の一手が見える
  8. 「後で見る」に保存し、安心して次へ進める

ポイントは「不安→安心」の転換体験を明確に設計したこと。情報を届けることのみが目的ではなく、飼い主が「自分は一人じゃない、次に何をすべきか分かった」と感じる瞬間をつくることが、このサービスの本質的な価値です。

サービスコンセプトの整理

提供サービス

犬と猫のケアマネ」(Webメディア)

提供価値

  • 個別症例に応じた具体的な介護ケア情報
  • 次の疑問まで連続的に解決できる記事導線
  • 「後で見る」で自分専用のケア辞書を構築

競合との差別化

  • 獣医師監修による専門性
  • 飼い主のリアルな事例・経験の蓄積
  • 「実践できる」レベルまで落とし込まれた情報

ユーザー体験の流れとビジネスモデル

ユーザー体験フロー

  1. 不安な状態でGoogle / Instagramで検索
  2. 一般的な情報に触れるが解決しない
  3. 本サービスの記事に流入
  4. より具体的な疑問が生まれ、サイト内で追加検索
  5. 実践的な解決策を得る
  6. 「後で見る」に保存→自分専用の知識として蓄積

ビジネスモデルと主要KPI

収益源
広告収入(スポンサー)

流入チャネル
SEO / SNS / 外部メディア連携

主要KPI

  • 月間アクティブユーザー数
  • 記事数
  • 「後で見る」登録数

10回目が教えてくれたこと

今回もっとも印象的だったのは、「機能より感情の流れを先に設計する」という原則の力強さです。

ストーリーボードの8コマを埋めていく過程で、チームは自然と「このユーザーは今何を感じているか」「何が不安を解消するのか」という問いに向き合いました。機能やUIの議論になりがちな場面でも、「この瞬間の感情はどう変わる?」という問い返しが設計の質を引き上げました。

ゴールを「入口体験」に絞ったことで、議論の解像度が大きく上がりました。スコープを広げれば広げるほどアイデアは発散します。今回の学びは、「絞る勇気が、深さを生む」ということです。

次回:Google Stitchでモック制作へ

次回は今回精度を高めたストーリーボードをもとに、Google Stitchを活用したモック制作を実施予定です。「感情の変化」を軸に設計した体験が、実際の画面としてどう形になるか——引き続き記録していきます。


この記事を書いた人

栗林 陽

栗林 陽(くりばやし よう)

株式会社aund 代表取締役 / 会議カルチャー改革ファシリテーター

新卒で東芝ソリューション(現・東芝)にて営業・PJ支援を経験後、ジェイテックスマネジメントセンター(現TOASU)で企業研修の企画・販売に従事。新規事業部門でSaaSプロダクトマネージャーを経て、学研ホールディングス人事戦略室に出向し研修0→1立上げ・人材育成領域を担当。2019年、株式会社aund設立。会議ファシリテーション・組織開発・ワークショップ設計を強みに、現場に根づく変革を支援する。

学びの系譜
  • 2017年|社会起業大学 修了
  • 2019年|慶應MCC 組織開発実践講座 修了
  • 2022年|東京デザインプレックス研究所 UIUX講座 修了
  • 2026年|AI経営寄付講座 受講
  • 2026年〜|青山学院大学 ワークショップデザイン講座 在籍中
アドバイザリー実績
  • 2025年6月〜2026年3月|株式会社IKUSA 研修事業アドバイザリー
  • 2026年4月〜現在|株式会社東京チェンソーズ 研修事業アドバイザリー
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