犬と猫の地域包括ケアをめざして/13回目:リーンキャンバスでビジネスモデルを考える

2026年5月11日(月)9:30〜11:30、デザインスプリント第13回目を実施しました。今回のテーマはビジネスモデルの探索とMVP像の検討。前回のKPTで「まず事業の骨格を考える」と合意したことを受け、具体的な事業仮説を議論する2時間となりました。

フレームワークとしてリーンキャンバス(課題→顧客セグメント→ソリューション→優位性→収益→コストの順)を使い、「ペットの地域包括ケア」を担うケアマネという概念を事業の核に据えながら、さまざまな可能性を出し合いました。今回はあくまで仮説の整理。次回(6月1日)までにピッチできる企画書に落とし込むことを見据えて、アイデアを広げた回です。

解決したい課題——誰がどんな問題を抱えているか

リーンキャンバスの最初のステップ、「課題と顧客セグメント」から議論を始めました。対象として見えてきたのは、大きく飼い主事業者の2者です。

飼い主側の課題

  • 情報は多いが整理・取捨選択が難しく、適切な支援者やサービスにたどり着けない
  • 動物病院に相談が集中しており、じっくり話を聞いてもらいにくい
  • 老犬・老猫になるにつれて「次に何をすべきか」の羅針盤がない

事業者側の課題(動物病院・往診・老犬ホーム・ペットシッター等)

  • ケアを必要としている飼い主にリーチできていない
  • 開業初期や集客フェーズのタッチポイントが不足している

このギャップを埋める存在として、ケアマネという概念が議論の中心に置かれています。

ビジネスモデルの方向性(案)

収益の作り方についていくつかの選択肢が出ました。まだどれも仮説段階です。

初期の方向性として挙がった案:Webメディアで飼い主の集客基盤を構築し(広告・アフィリエイトは当面なし)、ケアマネ概念を前面に出した相談の一次受けと適切な事業者への紹介(送客)を担うイメージです。

対象モデル内容
飼い主月額サブスク(案)3,000〜5,000円程度の相談窓口。状況変化に継続対応
事業者成功報酬型(案)送客数に応じた課金。導入ハードルが低い
事業者月額課金型(案)プラットフォーム利用料。価値拡大とともに段階的に引き上げ
企業・団体協賛・スポンサー(案)コミュニティ規模に応じた協賛枠

どのモデルを軸にするかはこれから検証。飼い主課金と事業者課金、それぞれのメリット・デメリットを整理しながら、PMF(プロダクトマーケットフィット)の糸口を探っていきます。

MVPの候補像——「ケアマネ相談+事業者紹介」

今回の議論で浮かび上がってきたMVPの候補はシンプルなものでした。

飼い主が低額のサブスクで気軽に相談でき、必要に応じて地域の適切な事業者を紹介してもらえる窓口

イメージとして出たのは2つのレイヤーです。

  1. 表(フロント):「ケアマネ」というわかりやすい言葉で安心感を訴求
  2. 裏(バック):専門家の監修のもと品質を担保。個人依存・属人化を避ける体制をつくる

あくまで現時点の仮説であり、次回以降に企画書として整理していく予定です。

コンテンツ・編集体制のアイデア

Webメディアを集客の軸に置くなら、記事品質が重要になります。今回はこんな体制案が出ました。

  • 専門家による記事監修:獣医・動物看護の専門知識を持つ監修者を置き、信頼性を担保する
  • 編集体制:出版実務の経験を持つ編集者をアサインし、専門家の知見を読みやすく整える
  • 執筆ネットワーク:動物看護師・老犬介護の実務者など、現場に近い人に書いてもらう
  • AIの活用:「素材(写真・情報)→AI初稿→人が編集」のワークフローを標準化する案

老犬の介護、オムツ選定、トイレ問題など各論の専門記事を充実させることで、飼い主が「困ったらここに来る」という導線を作るイメージです。

コミュニティ設計のアイデア——Slack+Notionの二層構造案

事業者と連携するコミュニティ基盤として、二層構造のアイデアが出ました。

  • Slack:連絡・相談のフロー用途。地域別チャンネル、全体相談、専門家の「部屋」を設置する案
  • Notion:ナレッジ・Wikiのストック用途。Slackと連携し、情報の蓄積・検索を可能にする

「Slackは会話、Notionは知識の整理」として使い分けるイメージです。これも次回以降に具体化していきます。

次回に向けて——6月1日、ピッチ企画書へ

今回の議論で出たアイデアや仮説を整理し、6月1日の次回セッションまでにリーンキャンバスを完成させ、ピッチできる形の企画書に落とし込むことが次のステップです。

ビジネスモデルの仮説、MVP像、編集・コミュニティ体制——それぞれがまだ「案」の段階ですが、方向性の輪郭はだんだん見えてきました。前回のKPT(第12回)で「まず事業の骨格」と決めた通り、今回はその最初の一歩を踏み出した回です。


新規事業のチームづくりや会議設計でお困りの方へ

aundでは、新規事業チームの立ち上げ期に必要な「場の設計」と「議論の構造化」を支援するファシリテーションサービスを提供しています。リーンキャンバスの壁打ちから、チームとしての意思決定プロセスの設計まで、現場に根ざした支援が可能です。

第12回:KPTでチームを構築するレトロスペクティブ ▶ 第11回:Google StitchでUIプロトタイプを作る

この記事を書いた人

栗林 陽

栗林 陽(くりばやし よう)

株式会社aund 代表取締役 / 会議カルチャー改革ファシリテーター

新卒で東芝ソリューション(現・東芝)にて営業・PJ支援を経験後、ジェイテックスマネジメントセンター(現TOASU)で企業研修の企画・販売に従事。新規事業部門でSaaSプロダクトマネージャーを経て、学研ホールディングス人事戦略室に出向し研修0→1立上げ・人材育成領域を担当。2019年、株式会社aund設立。会議ファシリテーション・組織開発・ワークショップ設計を強みに、現場に根づく変革を支援する。

学びの系譜
  • 2017年|社会起業大学 修了
  • 2019年|慶應MCC 組織開発実践講座 修了
  • 2022年|東京デザインプレックス研究所 UIUX講座 修了
  • 2026年|AI経営寄付講座 受講
  • 2026年〜|青山学院大学 ワークショップデザイン講座 在籍中
アドバイザリー実績
  • 2025年6月〜2026年3月|株式会社IKUSA 研修事業アドバイザリー
  • 2026年4月〜現在|株式会社東京チェンソーズ 研修事業アドバイザリー
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