【デザインスプリント実践】犬と猫の地域包括ケアをめざして/9回目:「ペットのケアマネ」という答へ
2026年3月31日、9回目となるGoogleデザインスプリントを2日間にわたって実施しました。舞台は引き続き「犬猫の緩和ケア」の新規事業開発。前回(第8回)ではターゲット定義と課題再定義を行い、「ペットのケアマネ的サービス」という方向性が浮かび上がっていました。今回はそのアイデアをより具体的な形に落とし込むことを目指しました。
参加者は代表の吉田氏(犬猫の緩和ケア)、鷲沼氏(e-PON)、そしてファシリテーター栗林(aund)の3名。2日間のスプリントを通じて、事業の輪郭はよりくっきりと見えてきました。
1日目:目標を定め、地図を描く
目標設定——5年後のビジョンと問い
まずチーム全員で「この事業が向かう先」を言語化することから始めました。

ホワイトボードに書き出された目標はこうです。
- 5年後:ペットの介護ケアのアイコン的な存在になる。孤立を感じる飼い主を0にする
- 1年後:月アクティブユーザー3万人
- 半年後:月アクティブユーザー1万人
スプリントクエスチョン(この2日間で答えを出すべき問い)として設定したのは次の2つです。
「どうやったらうちの子を助ける情報を見られるか?」
「飼い主に孤立を感じさせないサービスとは?」
マップ——登場人物とフェーズを定義する
目標を定めた後は、「誰が・どんな経路でサービスと関わるか」をマップとして描く時間です。
今回のマップでは、登場人物を飼い主・サービス提供者・支援者・提携ベンダーの4者に整理。フェーズは集客→見る→共感/共有→アクションの4段階で設定しました。
議論の中で特に重点的に深掘りしたのは「飼い主」×「見る」フェーズの交点です。ペットの介護に悩んでいる飼い主が、情報を"見つけられる"状態をどう設計するか——ここがサービスの入口として最も重要だという共通認識が生まれました。
専門家インタビューとHMW——「なぜ」を掘り下げる
マップの各フェーズに対して専門家(生成AI、ウェブマーケティング、飼い主、ケアマネ)の視点からインサイトを追加し、「How Might We(どうすれば〜できるか?)」の形式で課題を再定義しました。「同じ境遇の飼い主コミュニティが解決の鍵になるのか?」という問いが、この日いちばん議論を呼びました。

2日目:アイデアを形にし、一つに絞る
情報収集(Lightning Demos)——他業界から学ぶ
2日目の冒頭は、参考になりそうな既存サービス・事例をメンバーそれぞれが調べて紹介する「Lightning Demos」から。ペット領域にとどまらず、人間の介護・医療、SNSコミュニティ、専門家マッチングサービスなど、多様な業界事例からアイデアの種を集めました。
クレイジー8——8分で8案を生み出す

デザインスプリントの醍醐味のひとつ、クレイジー8。A4用紙を8分割し、1マスに1アイデアを8分で描ききります。「うまく描こうとしない」「まず手を動かす」という制約が、思考の固定化を解き放ちます。
この日生まれたアイデアのキーワードは「ケアマネ」「チャットボット」「専門家チームによる情報発信」「コミュニティ機能」「リーフレット(じぶん名刺)」など多岐にわたりました。
ソリューションスケッチと意思決定——「ペットのケアマネ」へ

各自がクレイジー8から1案を選んで詳細なソリューションスケッチへ落とし込み、チームで批評・投票(ドット投票)を実施。結果、2つのコンセプトに票が集中しました。
- ケアマネ:ペットの健康・介護に関する相談を一手に引き受ける「ペットのケアマネジャー」的役割
- 専門人材(ベテラン専門家チーム):獣医師・ケアスタッフ・栄養士など複数の専門家が多角的に情報発信する仕組み
この2つは相反するものではなく、「ケアマネが窓口となり、背後に専門家チームが支える」構造として統合できるという合意に至りました。
9回目が導き出した答え:ペットのケアマネ+専門家チームモデル
2日間のスプリントを経て、チームが合意した事業の方向性は次のとおりです。
合意した事業の方向性
- 🐾 ペットのケアマネ的サービスとして、飼い主の「悩み→解決」を継続的にサポート
- 👥 専門家チームによる多角的な情報発信(獣医師・ケアスタッフ・栄養士など)
- 🌐 ネット(チャット・AI活用)とリアル口コミを組み合わせた展開
- 🤝 「同じ境遇の飼い主コミュニティ」を孤立解消の核として設計
ファシリテーターとして感じたこと
9回のセッションを重ねて感じるのは、「答えは最初からチームの中にある」ということです。スプリントは、そのバラバラな断片を構造化し、言語化し、一つの方向性へ収束させるプロセスです。
今回「ペットのケアマネ」というキーワードに全員の票が集まった瞬間、3人の間に共通の確信が生まれました。それはどんな資料よりも、どんなデータよりも、実際に手を動かして考え抜いた2日間が生んだものです。
次のステップはプロトタイプ制作とユーザーインタビュー。「ペットのケアマネ」がどんな形でサービスとして届けられるか、引き続き記録していきます。



