犬と猫の地域包括ケアをめざして/15回目:「何を売るのか」から見えてきた、最初のケアマネモデル
2026年6月18日(木)10:00〜12:00、第15回目のデザインスプリントを実施しました。
前回までの議論では、「ペットの地域包括ケア」という大きな構想について検討を進めてきました。
介護情報メディア、地域の専門家ネットワーク、オフラインコミュニティ、ケアマネ機能――。
目指す方向性は徐々に見えてきた一方で、今回改めて向き合ったのは、
「結局、最初に何を提供するのか」
「お客様は何にお金を払うのか」
という問いでした。
構想を語ることはできる。しかし事業として形にするためには、まず最初に提供する価値を明確にしなければならない。その原点に立ち返る2時間となりました。
メディアは重要。しかしMVPではない
今回の議論の中で整理されたことの一つが、メディアの位置づけです。
介護情報メディアは引き続き重要な取り組みです。専門家監修の記事を積み上げ、飼い主が困ったときにたどり着ける場所をつくることは、将来的な事業の重要な基盤になります。実際に、記事制作やサイト構築、ドメイン取得などは今後も進めていきます。
しかし一方で、記事が蓄積され、検索流入が生まれるまでには時間がかかります。そのため、
メディアは事業全体の重要な資産ではあるものの、最初に検証するMVPの対象からは一旦外す
という整理になりました。
本当に試したいのは「ケアマネ」という価値
議論を重ねる中で見えてきたのは、私たちが本当に提供したいのはセミナーでも記事でもなく、
「相談できる安心感」
「何をすればいいかを整理してくれる存在」
ではないか、ということでした。
人間の介護にはケアマネジャーがいます。困ったときに相談でき、状況を整理し、必要なサービスにつないでくれる存在です。
ペット介護の世界には、まだその役割が十分に存在していません。
だからこそ、ペット版ケアマネジャーという価値そのものを検証してみるべきではないか、という結論に近づいていきました。
MVPとして見えてきた「相談導線」
今回の議論を通じて、MVPのイメージもかなり具体化されました。
まず入口となるのは地域セミナーです。セミナーでは知識提供だけでなく、参加者自身が現状を整理できる「簡易ケアマネプラン」をその場で作成します。ここまでは無料です。
そして、
「もっと具体的に相談したい」
「うちの子の場合はどうしたらいいのか知りたい」
という方に向けて、有料のケアマネ相談へつなげていきます。
相談はLINE電話などを活用しながら実施し、飼い主の状況や悩みをヒアリングします。さらに、その内容をAIにも読み込ませることで、人の経験とAIの知見を組み合わせた形で、より具体的なケアマネプランを作成していく構想です。
オンラインだけではなく、リアルな相談拠点も用意する
これまでの検証や経験から、ペット介護領域ではオンラインだけで信頼を得ることは簡単ではないことも見えてきました。特に対象となる飼い主層を考えると、最初の接点はリアルの方が安心感を持ちやすい可能性があります。
そこで構想しているのが、毎月2回程度のリアル相談会です。
気軽に立ち寄り、相談でき、必要に応じて専門家や地域のプレイヤーにつながる。オンラインとリアルを組み合わせることで、「いつでも相談できる場所」を少しずつ形にしていきます。
地域包括ケアを支える「キャスト」という考え方
今回の対話の中では、地域の事業者や専門家をどのように呼ぶかという話題も生まれました。
単なる「業者」ではなく、地域包括ケアという一つの物語を一緒につくる仲間。その意味を込めて、仮称ではありますが、「キャスト」という表現もアイデアとして出てきました。
獣医師、動物看護師、トリマー、シッター、介護事業者。それぞれが主役ではなく、地域包括ケアという舞台を支える出演者として関わっていく。そんな世界観も少しずつ見え始めています。
次回に向けて
次回は構想をさらに具体へ落とし込む回になります。テーマは、「セミナーからケアマネ相談につながる導線設計」です。
具体的には、以下を整理しながら、第1回セミナー開催に向けた準備を進めていきます。
- セミナーで作成する簡易ケアマネプランのフォーマット
- 有料相談への誘導方法
- LINE相談の流れ
- AIを活用したケアマネプラン作成プロセス
- 毎月2回のリアル相談会の設計
- 料金体系の仮説
地域包括ケアという大きな構想は変わりません。しかし今回、その第一歩として、「ケアマネ相談」という最小単位の価値を検証するという方向性が見えてきました。
理想の世界を描くだけではなく、まずは一人の飼い主に価値を届けるところから。次回は、その具体的な形をつくり始めます。

