犬と猫の地域包括ケアをめざして/17回目:セミナーから有料相談へ。顧客体験の導線を具体化する

📅 2026年7月13日(月)10:00〜12:00|第17回 デザインスプリント

この回のポイント

  • 顧客導線を「認知(セミナー)→検討(無料ケアプラン)→購入(有料相談)」の3段階に整理
  • 無料ケアプランの作成フローが実運用レベルまで具体化
  • 有料版は「専門家によるヒアリング+AI整理」で個別性の高いプランへ
  • 検証するのは利用人数だけでなく「次の行動へ進むか」という転換率
  • 公式LINEをサービス全体のハブとして位置づけ

これまでのプロジェクトでは、飼い主へのインタビューを通して課題を明らかにし、サービスの方向性やビジネスモデルを検討してきました。

そして今回は、8月に予定している初回セミナーを見据えながら、

「サービスを知った飼い主が、どのように無料ケアプランを体験し、その後の有料相談へ進むのか」

という顧客導線を具体化しました。サービスの機能をつくるだけでなく、認知から検討、購入までの一連の体験を設計する回となりました。

セミナー、無料ケアプラン、有料ケアプランの役割を分ける

今回の議論で、サービス全体における各接点の役割が明確になってきました。大きく整理すると、次の3段階です。

顧客の段階接点目指す状態
認知セミナーペットの介護や看病について知り、相談できる場所の存在を認識する
検討無料ケアプラン自分とペットの状況を整理し、サービスの価値を体験する
購入公式LINEからの有料相談より詳しいヒアリングを受け、個別性の高いケアプランを作成する

セミナーは、サービスを販売することだけを目的とした場ではありません。まずは飼い主に役立つ知識を届け、自分たちが抱えている困りごとに気づいてもらう。さらに、「相談できる場所がある」と知ってもらうための認知の入口です。

その後、無料ケアプランを通じて、実際にどのような支援を受けられるのかを体験してもらいます。そして、さらに詳しく相談したい方に、公式LINEを通じて有料ケアプランを案内する。この一連の流れを、今回初めて具体的な顧客導線として整理しました。

無料ケアプラン作成の仕組みが形になってきた

無料版ケアプランについては、実際に運用できるところまで準備が進んでいます。現在は、

  • Googleフォームによる情報入力
  • 飼い主とペットの状況整理
  • 相談内容や録音データの文字起こし
  • AIを活用した簡易ケアプランの生成

という一連の流れを構築しています。入力形式に応じて利用できる複数の生成ツールも用意し、運用時の負担を減らしながら、一定の品質でケアプランを返せる形を目指しています。

無料版では、飼い主が現在の状況を整理し、

  • 今、何に困っているのか
  • どこに注意した方がよいのか
  • 次に何を考えるべきか

を簡潔に把握できる内容を届けます。この無料ケアプランは、それ自体でも価値のあるものにしながら、同時に有料相談を検討するための体験版として位置づけています。

有料版では、より深いヒアリングと個別プランを提供する

有料版では、フォームへの回答だけでなく、専門家による詳細なヒアリングを行います。飼い主の生活環境、ペットの状態、日々困っていること、今後望んでいることなどを丁寧に確認し、より個別性の高いケアプランとしてまとめます。

無料版と有料版の違いは、単に情報量の多さではありません。無料版では現状を整理するきっかけをつくり、有料版では、

「この家庭と、この子の場合、これから何をしていくか」

まで一緒に考えていきます。ヒアリング内容はAIを使って整理しますが、最終的な確認と表現の調整は専門家が担当します。AIによる効率化と、人による丁寧な対話。その両方を組み合わせることで、実行可能で納得感のあるケアプランを目指します。

今回検証するのは「無料で使われるか」だけではない

無料サービスを提供すると、利用者を集めること自体が目的になりがちです。しかし今回のMVPで検証したいのは、無料ケアプランの利用人数だけではありません。重要なのは、

無料ケアプランを体験した方が、より詳しい有料相談を受けたいと感じるか

という点です。具体的には、次の流れを確認していきます。

  1. セミナーに参加してもらえるか
  2. 無料ケアプランを利用してもらえるか
  3. 公式LINEへ登録してもらえるか
  4. 有料ケアプランに申し込んでもらえるか
  5. 有料相談後に、継続的な支援を必要とするか

つまり、セミナーの参加人数だけを見るのではなく、各段階でどのくらいの方が次の行動へ進むのかを確認します。この転換の流れを把握することで、サービスの価値だけでなく、説明方法や導線の改善点も見えてきます。

公式LINEをサービスの中核に置く

この一連の導線の中心となるのが、公式LINEです。セミナー会場でQRコードを案内し、無料ケアプランを受け取るために友だち登録をしていただく。その後、ケアプランの送付や有料相談の案内、予約受付などをLINE上で行います。

公式LINEには、

  • 無料ケアプランの受け取り
  • 有料相談の案内
  • 相談予約
  • 継続的な情報提供
  • リアル相談会の告知

といった役割を持たせる予定です。一方で、LINE上の表示名とフォームの回答者をどのように照合するか、スマートフォンの操作に不慣れな方をどう支援するかなど、実際に運用するからこそ見えてきた課題もあります。初回セミナーでは、必要に応じてその場で登録を支援し、できるだけ離脱が起こらない導線を試していきます。

セミナーは「相談を始めるための場」

初回セミナーは、小規模なカフェで開催する予定です。構成は、短い情報提供とワーク、その後の個別相談を組み合わせます。

  • 自己紹介とプロジェクトの説明
  • ペット介護の基礎的な情報提供
  • 無料ケアプランの紹介・デモ
  • 自分の困りごとを書き出すワーク
  • 希望者への個別相談
  • 公式LINEへの登録案内

ここで大切にしたいのは、売り込みの場にしないことです。参加者が自分の状況を振り返り、「少し相談してみようかな」と思えること。その自然な動きを支える場として設計していきます。

ファシリテーターとして感じたこと

新規事業では、サービスの内容だけでなく、

顧客がどの順番でその価値を理解するのか

を設計する必要があります。今回のプロジェクトでも、無料ケアプランや有料相談を個別に考えているだけでは、サービス全体の姿が見えにくい状態でした。

しかし、セミナー=認知無料ケアプラン=検討公式LINE後の有料相談=購入と整理したことで、それぞれの接点で何を伝え、何を体験してもらうべきかが明確になってきました。

また、無料の利用者を増やすことだけではなく、そこから本当に有料で相談したい方が現れるのかを確認することも、事業性を判断するうえで欠かせません。構想を形にするだけでなく、利用者が次の一歩を踏み出す流れまで設計する。今回の回は、サービス開発から実際の顧客検証へ移る重要な節目となりました。

次回に向けて

次回は、初回セミナーに向けた最終準備を進めます。具体的には、

  • セミナーの詳細な進行表
  • 無料ケアプランの入力フォーム
  • 無料版・有料版の違いを伝える説明文
  • 公式LINEへの登録導線
  • 有料相談の予約・決済フロー
  • セミナー後に確認する検証指標
  • 当日の役割分担とスマートフォン操作支援

などを具体化します。初回セミナーでは、参加者の満足度だけでなく、認知から無料体験、そして有料相談へつながる一連の導線が本当に機能するのかを丁寧に確認していきます。

飼い主にとって役立つサービスであることと、継続できる事業であること。その両方を確かめる実証フェーズが、いよいよ始まります。


🧭 ファシリテーター: 株式会社aund 代表取締役 栗林 陽
📌 テーマ: 新規事業ファシリテーション(顧客導線・コンバージョン設計フェーズ)
📅 次回予定: 初回セミナー開催に向けた最終準備

この記事を書いた人

栗林 陽

栗林 陽(くりばやし よう)

株式会社aund 代表取締役 / 会議カルチャー改革ファシリテーター

新卒で東芝ソリューション(現・東芝)にて営業・PJ支援を経験後、ジェイテックスマネジメントセンター(現TOASU)で企業研修の企画・販売に従事。新規事業部門でSaaSプロダクトマネージャーを経て、学研ホールディングス人事戦略室に出向し研修0→1立上げ・人材育成領域を担当。2019年、株式会社aund設立。会議ファシリテーション・組織開発・ワークショップ設計を強みに、現場に根づく変革を支援する。

学びの系譜
  • 2017年|社会起業大学 修了
  • 2019年|慶應MCC 組織開発実践講座 修了
  • 2022年|東京デザインプレックス研究所 UIUX講座 修了
  • 2026年|AI経営寄付講座 受講
  • 2026年〜|青山学院大学 ワークショップデザイン講座 在籍中
アドバイザリー実績
  • 2025年6月〜2026年3月|株式会社IKUSA 研修事業アドバイザリー
  • 2026年4月〜現在|株式会社東京チェンソーズ 研修事業アドバイザリー
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