犬と猫の地域包括ケアをめざして/19回目:「保険の窓口」のようなケアマネへ。相談を起点に事業モデルを再整理

📅 2026年8月27日(木)9:30〜11:30|第19回 デザインスプリント

この回のポイント

  • 無料相談(今を整理)→ 有料ケアマネ(これからを一緒に考える)の構造を明確化
  • 将来像として「保険の窓口」のような常設相談拠点の構想が見えてきた
  • 地域パートナーを「中核メンバー」と「紹介先」に分けて整理
  • 有料転換しない理由の仮説と検証方法を具体化

8月3日の初回セミナーを経て、サービスの手ごたえと課題が同時に見えてきました。今回の打ち合わせでは、その両方を正直に受け止めながら、「犬と猫のケアマネ」の事業モデルをもう一度整理しました。

「何でも気軽に相談できる場所」をつくる

ペットの介護・看病では、飼い主は「どこに相談すればいいのか」がわかりません。動物病院なのか、ペットシッターなのか、介護用品なのか——選択肢は多いのに、自分の状況に合うものを選ぶ道しるべがない。

犬と猫のケアマネ ── 何でも気軽にご相談ください

という入口があること自体に価値があるのではないか。今回の議論を通じて、この仮説がより明確になりました。

将来的には、大型ショッピングモールや地域の拠点施設に「保険の窓口」のような常設の相談窓口を持つことも構想の一つです。困ったときに気軽に立ち寄れる、地域に根ざした存在になっていく——そのイメージが、この回で初めて共有されました。

サービスの基本構造:無料で整理し、有料で深める

サービスの基本構造はシンプルです。

段階内容
無料相談・無料ケアプラン困りごと・ペットの状態・生活環境を整理。「今」を把握するための場
有料ケアマネ相談丁寧なヒアリングと個別ケアプランの作成。「これから」を一緒に考える場

無料は入口と体験、有料は継続と深化。この役割の違いを明確にすることで、それぞれの場で何を届けるかが見えやすくなります。

物販は「選ぶ支援」として位置づける

介護用品(おむつ・マット・食器など)は、飼い主が自分で選ぶのが難しい領域です。商品数は多く、「うちの子に合うのはどれか」が分かりにくい。

将来的には相談拠点に試供品を置き、「この子の場合はこれが合いそう」とレコメンドする形を考えています。その場で押し売りするのではなく、必要なら後でECから購入できる仕組みです。これも「保険の窓口」的な発想と自然につながります。

地域パートナーは「中核」と「紹介先」に分けて考える

地域包括ケアを実現するには多様な事業者との連携が必要ですが、すべてを同じ関わり方にする必要はありません。今回、大きく二つに整理しました。

中核パートナー:一緒にサービスをつくる

訪問対応ができる獣医師、動物看護師、ペットシッター、在宅ケアの専門家など。ケアマネの相談後に実際の支援を担う、サービスの根幹を担うメンバーです。

紹介先:信頼できる地域情報として把握する

ペットタクシー、トリマー、ペットホテルなどの地域密着型サービスは、「信頼できる紹介先リスト」として整理する方針です。

ただし、地域パートナーの収集には固有の難しさがあります。トリマーやペットタクシーなど地域にしか存在しない事業者は、実際に足を運んでみないとサービスの良し悪しが判断できません。全国チェーン型のペット用品メーカーや大手業者は、利用者数が積み上がれば協力関係を検討してもらえる可能性がありますが、地域密着型の小規模事業者は数も見つけにくく、関係構築にも時間がかかります。

そのため、地域パートナーの開拓はサービスと並行して少しずつ進めていく方針です。最初から全域をカバーしようとせず、まず一つの地域で信頼できるネットワークを積み上げることが現実的です。

セミナーはファネルの入口、商品ではない

初回セミナーでは「認知→無料相談→LINE登録」の流れが一定程度機能しました。一方、有料相談への転換はまだ起きていません。

ここで重要なのは、「転換しなかった」と判断する前に、有料サービスの価値をきちんと伝えられたかを確認することです。現段階では、有料相談で何が得られるかが十分に伝わっていない可能性があります。

今後は、セミナーを「ケアマネを知ってもらうための入口」として位置づけ直します。セミナー単体を商品とするのではなく、

セミナー → 無料相談・ケアプラン → 公式LINE → 有料ケアマネ相談

という導線の中で機能させます。また、セミナー以外にも「無料相談会」のような形で、より直接的にケアマネの価値を体験してもらう場も検討します。

次に検証すること

  • 有料相談の価値を明文化し、LINE登録者へ案内する
  • 有料に進まなかった方へ直接ヒアリングし、「なぜ申し込まなかったか」を把握する
  • 無料相談会の場を設計する
  • 地域パートナー候補の整理(中核/紹介先の分類)
  • 動物病院・ペットショップ・商業施設など新しい開催場所の開拓

利用した人の声だけでなく、利用しなかった人の声を拾うこと。新規事業の改善ヒントは、多くの場合そこにあります。

ファシリテーターとして感じたこと

今回の打ち合わせで、これまでバラバラに検討していた要素——セミナー、無料ケアプラン、有料相談、地域事業者との連携、物販——が、ようやく一つの構造としてつながり始めました。

中心に置くのは「相談に乗り、整理し、必要な選択肢につなぐ」というケアマネ機能です。そこから、人につなぐ・サービスにつなぐ・商品につなぐ・情報につなぐ。まずは「困ったらここに聞けばいい」という小さな相談窓口を地域につくり、そこから徐々に専門家や事業者がつながっていく——その実現イメージが、今回かなり具体的になりました。


新規事業のチームづくりや会議設計でお困りの方へ

aundでは、新規事業チームの「場の設計」と「議論の構造化」を支援するファシリテーションサービスを提供しています。アイデアの壁打ちから、顧客検証・事業モデルの整理まで、現場に根ざした支援が可能です。

第18回:初回セミナー開催レポート ▶ 第17回:セミナーから有料相談へ。顧客体験の導線を具体化する

この記事を書いた人

栗林 陽

栗林 陽(くりばやし よう)

株式会社aund 代表取締役 / 会議カルチャー改革ファシリテーター

新卒で東芝ソリューション(現・東芝)にて営業・PJ支援を経験後、ジェイテックスマネジメントセンター(現学研グループ)で企業研修の企画・販売に従事。新規事業部門でSaaSプロダクトマネージャーを経て、学研ホールディングス人事戦略室に出向し研修0→1立上げ・人材育成領域を担当。2019年、株式会社aund設立。会議ファシリテーション・組織開発・ワークショップ設計を強みに、現場に根づく変革を支援する。

学びの系譜
  • 2017年|社会起業大学 修了
  • 2019年|慶應MCC 組織開発実践講座 修了
  • 2022年|東京デザインプレックス研究所 UIUX講座 修了
  • 2026年|AI経営寄付講座 受講
  • 2026年|青山学院大学 ワークショップデザイン講座 修了
アドバイザリー実績
  • 2025年6月〜2026年3月|株式会社IKUSA 研修事業アドバイザリー
  • 2026年4月〜現在|株式会社東京チェンソーズ 研修事業アドバイザリー
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